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小さなオープンカーで北海道の温泉を巡る、道産子の入湯記録。

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札幌国際大学オープンカレッジに行く(2)

前回の記事の続きです。

とりあえず国際化という話は一区切りになり、コーディネーターが別の話題を振りました。
さてどうなることやら・・
「かけ流しで国際化はできるのか」

北海道には圧倒的に本物があり、この点では国際的に突破できる。
全国には温泉施設が22000-23000あるが、そのうち源泉かけ流しは約3割程度。
しかし、北海道は半数が源泉かけ流しである。

アジアの人の8割が日本で「温泉に入りたい」と考えており、それに応えられるのは本物の温泉だけ。
塩素が入っている温泉は酸化した温泉である。
塩素は強制酸化剤であり、腐った温泉にしてしまう。
塩素は菌のないきれいな温泉にするものではなく、菌すら住めない状態にしてしまうものなのである。
国際的に通用するレベルに持っていくためには、源泉かけ流しで鮮度の高い温泉を提供すべきである。

特に十勝では、保健所が、化学的な基準がないまますべての温泉に塩素を入れさせる動きがあった。
また、北海道は条例で塩素殺菌を義務付けるところだった。

源泉かけ流しといっても塩素を入れているところはいっぱいあり、それはある意味詐欺である。
かけ流しの温泉に塩素を入れても意味がない。
塩素は施設内を隅々まで何度も流れるからこそ効くのである。
また、塩素がすべての温泉に効くわけではない。
プールや銭湯とは違うものなのである。
違うからこそ温泉なのである。
しかし保健所は温泉に塩素を入れたらどうなるか(どんな化学変化が起こるか)を知らない。

幸い北海道では条例とならなかったため、国際的に立ち向かえる。

ホスピタリティーが保てるのは30室前後。
その点でも現状は良くなりつつあるが、国際化=ツアー対応により時代に逆行して大規模化の弊害が出る恐れがある。
温泉についてもそうで、温泉の湧出量に見合った湯船を造らないから循環にせざるを得なくなる。
キャパシティーを適正にしないことで、ホスピタリティーも下がる・温泉の質も下がることに注意が必要。

ただし、それは宿だけの問題ではなく、客が求めたからそうなった。
(大きな宿に泊まることで)日本が豊かになっているという価値観があった。
しかし、その考え方は時代遅れである。
野沢温泉のある宿は、かけ流しにするために露天風呂を廃止した。
またある宿は千数百万円かけて、循環から源泉かけ流しへ移行した。

どうやって品質を高めて顧客満足度を上げるか。
北海道の観光は危機的になると値段を下げて対応してきた。
しかし、それで提供できるものはどうなるか。
「顧客満足度」は観光関係の授業の中だけのものになっている。
外貨の価値が下がって外国人観光客が減るとしても、それでも来れる人はまだたくさんいる。
こういう時こそ品質を上げるべきである。

台湾の文化人たちは割り箸ではなく、マイ箸を使っている。
なぜなら、割り箸には漂白剤が入っているから。
中国製の割り箸には漂白剤が入っており、割り箸をつけた水に魚を入れるとみんな死んでしまう。
それくらい、台湾人は塩素に敏感。
温泉に塩素が入っていることを台湾人が分かったなら、もう来なくなるだろう。
塩素とは、それくらいの問題なのだと思う。

顧客満足度について言えば、従業員満足度が高いところほど顧客満足度が高いと言えると思う。
顧客満足度を中心に考えるなら、従業員に無理をさせる結果になり、長く続かない。
ある宿では宿じゅうに監視カメラを設置して従業員を見張っているが、そのため従業員の多くが半年ほどで辞めている。
そういう宿の顧客満足度が高いとは到底思えない。

サービス業ほど正社員の率を高めるべきである。
北海道では22時間ステイできる宿は2件しかない。
しかし、全国的に見ればチェックアウト11時(長時間ステイ)は常識である。
今は温泉に泊まること自体が旅の目的になっているので、いかにチェックインを早く、チェックアウトを遅くするかが鍵である。
それにより、お昼を温泉街で食べていったりするようになる。
そういうサービスは、パートで成り立っている宿では難しい。

今までのチェックイン・チェックアウトの時間はエージェントの指示だった。
大規模なホテルやエージェントが必要な時期もあったし、今もエージェントの役割が終わったわけではない。
ただ、エージェントはもっと柔軟になって、施設の評価の仕方などをいろいろと変えていくべきであろう。

エージェント依存率や部屋数を入れた宿の格付けをするなら、国際的にも理解されるだろう。

+++++

北海道の食料自給率は200パーセント。
100パーセントを超えている県は5つしかない。
北海道は「食」が良いはずなのに、実際にはそうなっていない部分がある。
そこを使わないで、北海道の温泉は世界ブランドになれるだろうか。
外国人が日本に来たい理由の第3位が「食」なのである。

1泊7000-8000円の宿では結構道産のものを使っているのだが、食器が悪くて食材が生きていないことがある。
また、エージェントに依存しているところは(エージェントに3000-4000円払うため)1人1泊2食3000−4000円で泊めていることになり、それでは道産の食材を使うことができない。

良い食材を使っていることを考えれば、北海道の宿泊料は本州に比べて20-25パーセントも安いと言える。
ただ、いい食材をそれらしく見せる工夫が足りない。
食器や食事の出し方をきちんとすることで、もっと値段を上げられるだろう。
そのようにしてまっとうな食材を出せる価格設定をすべきである。
「銭の取れる宿」になることにより、薄利多売でいつまでも本州資本に収奪されていく悪い連鎖を断ち切れるだろう。

「ブランド化」ということについて言えば、食文化や町並みなどは時間をかけて少しずつ変わることによりできるものである。
短期間でできたブランドは偽者である。
そういうものではなく、北海道の食材・安全にこだわったものを使うことこそがブランドになる。

旅に行く意味とは地域性を感じること。
地域の歴史性と文化性の連続性にこそ人は快感を感じ、それが最高に癒しになるのである。
それを、内側のことを分からないで、とってつけたように1つの雑誌を売るために(ブランド化を)仕掛けるのは気持ちが悪い。
そういう東京資本の略奪の原理には気をつけるべき。

由布院の1泊47000円の宿に泊まったとき、どんな食事が出てくるのかと思ったら、1品目に出てきたのが「先ほど従業員が摘んできた野いちご」だった。
キャビアやステーキはもちろん、珍しいものが1つも出てこなかった。
むしろ、当たり前のものばかり。
当たり前のものが出るからこそ、普段自分が食べているものと比較でき、(食事のコストは非常に低いかもしれないが)払った値段なりの満足度を感じることができる。

今のいい宿の流れは、1品目をどうやって出すか、どう意表をつくかということである。
それこそ北海道がやるべきことであるが、まだまだである。


清潔さという点も国際化に関わってくる。
秋田の、ある歴史のある宿には、宿の雰囲気にもマッチした、清潔なトイレがある。
部屋にトイレをつけることも考えるべき。

北海道のある高級宿は、今まで部屋にトイレがなく人的ホスピタリティーに頼っていたが、改装して部屋にトイレをつけることで結果的に評判が良くなった。
ただ、浄化槽を設置するには数百万の負担が生じる。
その面で、行政に動いてもらうことが必要だろう。


*****

話はこの辺で時間を迎え、無理矢理終了となりました^^;
本来なら質疑応答の時間もあったようなのですが・・話しすぎです(笑)
最後の部屋トイレの話は、何となく聞くことに集中してしまったためほとんどメモを取っていませんでした・・
本当は固有名詞(宿の名前や雑誌の名前など)がバンバン出てきたのですが、ここではできる限り割愛しました。
講師の松田忠徳教授と舘浦海豹氏、ありがとうございました。
実際には非常に笑いの多い講座でした^^;


で・・残り2回の講座なのですが・・

第3回 11月19日(水) 午後6時30分から8時30分
ニセコは、観光・北海道の起爆剤になれるのか
〜国際的なリゾート地としての「NISEKO」を探る〜
講師:ポール・ハガード/ベン・カー/森晃

第4回 11月26日(水) 午後6時から8時
観光は、北海道を自立させられるか
〜その課題と可能性を考える〜
講師:星野佳路/和野内崇弘

場所は札幌エルプラザ(北8西3)で、全講座無料です。
基本的に事前申し込みが必要ですが、当日の飛び入りでも大丈夫みたいです。

今回は講師の2人の考え方を参考にしたくて出向きましたが、北海道の観光に関心のある方なら行ってみて損はないのかなぁと思います。
私が次回以降も行くかは微妙なところですが^^;
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この記事へのコメント

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無題

のんさん、おはようございます。
しっかりと続きを読ませていただきました。
私も聞いてみたかったですね。
おそらく固有名詞を頻発なさったのは海豹さんですね。以前一度お会いした事がありますし「いい旅研究会」に属していたことがあります。
北海道の温泉を熱く語る方はどなたもこよなく北海道を愛している方ばかりですね。
第4回の講座は星野社長が講師を務められるので是非参加してみたいですね。
会場でのんさんとお会いできればと思っています。
  • from 温泉マン :
  • URL :
  • 2008/11/10 (08:47) :
  • Edit :
  • Res

無題

>温泉マンさん
おはようございます^^

この講座は本当に面白くて、行って良かったと思います。
自分の経験と知識の少なさを実感しました^^;

固有名詞ですが、出てきたものは9割方は海豹さんです(笑)
それがあの方のスタイルなんでしょうけど、面白く感じながらも多少心配になりますね^^;

先週はたまたま仕事が早く終わったので行けましたが、毎日仕事が終わる時間が違うので、次回以降に参加できるかは何とも言えないです^^;
4回目の講座は6時開始なので、余計に厳しいですね‥
都合がついたら行きたいと思いますが、行けない時は内容をお聞かせいただけたら嬉しいです^^;
  • from のん :
  • 2008/11/10 (11:36) :
  • Edit :
  • Res

無題

講座に参加した時は後日私のブログで報告させていただきます。

星野リゾート社長の星野氏には以前からとても興味がありました。その経営スタイルや手腕は以前NHKの「プロフェッショナル」という番組を見て感銘を受けました。現在のトマム運営に乗り出した動機や将来展望について、星野社長ならではの戦略を少しでも聞ければと思っています。

昨年トマム関係者の方から「トマム クチコミブログ集」に私のブログ登録依頼があり登録いただきました。実際訪問した人の生の声を伝えるためのものです。これってとても大切な事だと思います。
正体不明な不特定ブログではなく事前登録制にする事により記事の信頼性が向上すると思います。

現在のトマムは宿泊料金やチェックイン時間の自由度が高く利用しやすくなっていると思います。

ともかく北海道全体が観光をはじめとして元気になってくれる事を心から望みたいと思います。

※長々とコメント失礼しました。
  • from 温泉マン :
  • 2008/11/10 (20:18) :
  • Edit :
  • Res

無題

>温泉マンさん
レスが遅くなり、申し訳ありませんでした。
少々体調が落ち気味で、あまりパソコンに向かっていませんでした^^;

先週の水曜日は帰宅したのが午後7時で、残念ながら参加できませんでした。
今週もどうなるか・・行けない確立の方が高いと思います。
私も星野氏がどんな話をするのか少なからず興味がありますので、楽しみなのですが^^;

温泉マンさんのご報告をお待ちしています^^
  • from のん :
  • 2008/11/16 (23:07) :
  • Edit :
  • Res

無題

こんばんは
またまた、投稿しちゃいました。
とっても楽しそうな講義だったようできっと充実していたのだろうと思います。
温泉はとっても奥が深い様に年を増すことに感じている今日この頃です。
のんさんのブログを見ていると温泉に行きたい感が強くなるような気がします(笑)
これからも色々な話題載せてもらえるとうれしいです。(ちょっとしたファンになりました)
今月は29、30と白老攻めてみようと思ってます。(笑)
  • from 日本一小さい市 :
  • URL :
  • 2008/11/17 (18:41) :
  • Edit :
  • Res

無題

>日本一小さい市さん
こんばんは〜。
私は松田教授の本を時々読んでいるので、実際に教授が話しているのを聞けてとても楽しかったです。
話されていることすべてを鵜呑みにすることはありませんが、非常に勉強になったのは間違いありませんね。
今後も温泉に関わる話があれば、見聞きしたことをそのまま載せる事しかできませんが、記事にしていきたいと思います。

月末に白老攻めですか〜
道路状況が悪くなっているかもしれませんので、お気をつけて。
ゆっくり楽しまれてください^^
  • from のん :
  • 2008/11/19 (00:43) :
  • Edit :
  • Res

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プロフィール

HN:
のん
性別:
男性
職業:
温泉愛好家&温泉ライター。温泉資格:温泉入浴指導員・温泉健康指導士・温泉ソムリエマスター・温泉観光士・温シェルジェ・温泉観光実践士・温泉観光管理士・高齢者入浴アドバイザー。
趣味:
湯。翼。
自己紹介:
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