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小さなオープンカーで北海道の温泉を巡る、道産子の入湯記録。
小樽赤岩温泉跡(2)
- 2013/08/10 (Sat)
- 廃業・休業温泉 |
- CM(11) |
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赤岩温泉についてネット上にある情報はごくわずかで、私も手元に数枚の写真を持っているのみです。
こちらの雰囲気のある佇まいの宿と、
こちらの比較的シンプルにみえる宿。
写真に残っているのは2軒です。
この写真は小樽市総合博物館(運河館)で入手しました。
博物館に入ってすぐのところに1台のパソコンがありますが、そのパソコンには1万5,000件を超える写真や絵葉書が「デジタルアーカイブ」として保管されており、キーワードで検索したりして自由に見ることができます。
「温泉」という言葉で検索すると、今の姿になる前の古い和琴半島露天風呂や池の湯、昔の定山渓温泉の姿など、道内の温泉地の様々な絵葉書や写真も見ることができました。
そして用紙に必要事項を記入すれば、有料で印刷してもらうことも可能です。葉書に印刷するのは1枚50円で、2007年に見学した時に赤岩温泉の写真を印刷していたのでした。
今回は、その写真を持参しています。
前回赤岩海岸に来た時は、時間の関係で「青い岩塔」から先には行く事ができませんでした。
それで、非常に楽しみにしつつこの岩を超えました。
見事な海岸線の手前に、石垣が残っています。
そして、ここで海水浴に来ているご家族が一組・・これには少しびっくりしました^^;
一応ご挨拶して、周囲を観察します。
石垣の内側は大きくえぐられています。
その奥に、自然にできたにしては非常に平らな場所。
実際に立ってみると、整地されたように平らです。
そして、藪の中に黒い苔がありました。
手前の海岸で見た、冷泉が湧出している噴泉丘も黒い苔で覆われていたのを思い出しますが、ここでも微量の湧出がありました。
塀の内側には、びっしりと杭が打ち込まれていたのが確認できます。大きな岩がごろごろしているここでの工事は、相当大変だっただろうなと思います。
塀は一旦なくなりますが、少し離れた所にまた作られています。この間の部分は元々なかったのでしょうか、それとも完全に流されたのでしょうか。
写真と見比べると、3本の筋になって見える岩肌が今でも残っているように思えます。
もう100年以上も前の話ですので、地形などが変わっている可能性も十分に考えられますが・・赤岩温泉の一軒はこの場所にあったのではないかと想像できました。
もう1軒は、海岸沿いながら少しだけ小高い丘のような場所に建っていました。手元にあるもう一枚の写真には、「赤岩温泉」と書かれた暖簾がはっきり確認できます。
そして後ろに写っている山には、道が写っています。
こちらもよく似た場所があります。
なだらかに左に下り、最後にポコッと起伏がある地形。
今は木が茂って見えにくくなっていますが、後ろの山に道があるであろうことは確認できました。
もう一軒の宿があったのはここなのでしょうか。
しかし、この場所を撮ると必ず写るはずの石垣が、古い写真の中にはありません。それで、こちらの宿の方が先に開業したのかもしれないと、この場所に立って思いました。
この温泉郷は明治から大正の始め頃まで賑わっていたようですが、「裏の崖は風雨のためくずれ、建物が破損して閉鎖された」とか「交通の不便さから凋落した」という記録が残っているようです。
大波や嵐の影響をもろに受けるこの場所に建物を建て、温泉を湧かして供する苦労はある程度想像できます。
それでも、祝津方向に写真の下赤岩山と窓岩、反対側には青の岩塔がある素晴らしい海岸線は、晴れた日は陽が落ちるまで非常にきれいだったでしょうし、
潮騒を聞きながらの湯浴みは格別だったはずです。
どの源泉を使っていたのか、またどこに宿が建っていたのか、はっきりと確定することはできませんが、写真を手がかりに想像を巡らせる、楽しい散策となりました。
なお、山中海岸から行く分には通行制限などはありませんが、一時間弱、ひたすら岩の上を渡って歩く必要があるため、体力はかなり消耗すると思います。
小樽市赤岩地区から降りていく道(古い写真に写っている、斜面を伝い宿の横まで通じる道)は立入禁止になっています。
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プロフィール
HN:
のん
性別:
男性
職業:
温泉愛好家&温泉ライター。温泉資格:温泉入浴指導員・温泉健康指導士・温泉ソムリエマスター・温泉観光士・温シェルジェ・温泉観光実践士・温泉観光管理士・高齢者入浴アドバイザー。
趣味:
湯。翼。
自己紹介:
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※ブログ移転&前PCのHDDクラッシュに伴い、過去の記事の画像がない状態が続いております。随時大きなサイズで画像を記事に戻しておりますので、ご容赦ください。
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この記事へのコメント
無題
ゆっくり、「ふむふむ」と読みながら自分が探検できたような錯覚を感じました。
無題
最近疲れ気味で文章が全然書けないのですが、コメントありがとうございます。
私も小樽の海側を探検したのは今回が初めてでした。
積丹へと続く岩肌は迫力満点でした^^
山中海岸から行くルートは制限なしなので記事にしましたが、途中で出会ったおじさんには怪しまれてましたね‥全身見て「何しに行くの」って聞かれました(笑)
釣り客ではないですし‥一人で思い詰めているように見えたのかも^^;
昔の写真を見ながら、あまり知られていない小樽の歴史に触れるのも結構楽しいですね〜。
無題
『近疲れ気味で文章が全然書けないのですが、コメントありがとうございます。』
>ブログの更新(撮影してきた写真探しや文章いれ)って大変ですよね。(自分も大変だからわかります。)
わざわざ、返事をありがとうございます。散策はやっぱり時には地元の人に怪しまれることもあるから大変だよね。
無題
コメントありがとうございます〜。
人気がない場所で散策してるときに人に逢うとこっちがびっくりしますが‥そんな時はこっちから明るく挨拶します(笑)
じゃないと本当に怪しまれそうで^^;
温泉巡りもいろいろと気を遣いますね〜。
私は記事を作るのに時間がかかるんです^^;
もう少しさらっと更新できたら楽なんですけどね〜。
無題
小樽の人は、みんないい人だよ。ただ、その場所は、密漁の監視人がいるから誤解されないようのね。
無題
コメントありがとうございます〜。
実は、私はその日仕事で層雲峡まで行っていたため、お会いしたのは別の方だと思います^^;
とはいえ、あそこにはまた行きたいと思っていますので、誤解されないように気をつけます。
山中方面からですと、結構歩きますね^^;
途中からずっと岩場ですし・・子供の頃の遊び場があんな岩場だったので慣れてはいるのですが、それでも結構疲れました。
でも、チャンスがあれば今年も再訪したいですね^^
無題
幻の赤岩温泉、いいですね。ここに載っている古い写真は、私は初めて見るものでした。位置の確認は今までなんとなくここかなという感じでしたが、この写真は決定的です。詳しい現地レポートで、とても勉強になりました。
私はアイヌ語地名解が好きで、山中〜赤岩海岸に関するアイヌ語地名を自分なりに解釈したページを数年前に作っています。
実は、赤岩温泉があったらしい場所についても地名が残っています(ケトゥチ、またはピリカワッカ)。もしよろしければ以下のページをご一読いただければ幸いです。
http://www.otarunay.com/otatimei2.html
無題
初めまして、管理人の、のんと申します。
コメントありがとうございます^^
アイヌ語については、地名や温泉名にもよく使われていますので、少なからず興味があります。
今年に入ってからも温泉巡りの途中でアイヌ民族博物館に立ち寄ったりしていますが、新たな発見があったりして面白かったです。
浜田さんのホームページも興味深く拝見させていただきました〜。
小樽の温泉銭湯ですが、実は昨日瀧の湯に行きまして、やっとすべての温泉銭湯に入ることができました^^;
(梅ケ枝温泉は営業してるうちに入りたかったです‥)
味がある銭湯ばかりで楽しいですね^^
赤岩温泉の散策も、是非また行きたいと考えています〜。
また何かありましたら、コメントいただけると嬉しいです^^
無題
実はその日に赤岩温泉跡に再訪問し、山菜取りの方にお会いしたので間違いないと思います。
無題
特に確証はなかったのですが、あそこに行ったのは温泉旅がらすさんなんだろうなと思ってました(笑)
やっぱりそうだったんですね〜。
私もどこかですれ違ってるかもしれませんね(笑)
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